aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

はまなす 薔薇文化の親種

バラの親種


はまなすは学名 Rosa rugosa(ロサ・ルゴザ)
バラ科バラ属の落葉低木で、いまでは何万種とある
ローズのもとになったバラ属のひとつでもあります。

はまなす


バラの原産地はすべて北半球にあり
日本もバラの自生地として世界的に知られています。
乾燥にも日光にも強く
耐寒性にすぐれた丈夫な原種、はまなすは
品種改良の親種として古くから活用されてきました。


はまなすはもともと梨のような実をつけることから
はまなし(浜梨)と呼ばれ、はまなすへ変化したといわれています。


海岸の砂地に自生し、花はお茶になり
果実に含まれるビタミンCの豊富さは
ローズヒップとして有名になりました。
ほかにもカロテン、ピロガロール、タンニンを含み
滋養強壮に良いといわれています。
そのままでも食べられますが
薬用酒やジャム、お茶、のど飴など
お菓子類にも使用されています。


根は染料になり、代表的な染め物に秋田黄八丈があります。
秋田八丈 - Wikipedia
(写真は八丈島の黄八丈です、ご参考までに)

黄八丈



はまなすの学名 rugosa(ルゴザ)はシワシワという意味で
たしかに花びらはシワッとしていますし
葉脈もスジがはっきりと際立って見えるので
全体シワシワしている印象があります。
細かい毛や棘が多く、潮風にあたっても塩分がつかないよう
進化してきた智慧がその姿形に反映されています。


北海道の石狩川河口にある「はまなすの丘公園」は
日本海にのぞむ、はまなすの群生を見られる観光スポットです。
日本海沿岸の風はほんとうに強く厳しいので
こんな場所でよく育つものだと心服します。


海岸ちかく自生するはまなすは
草丈を低くすることで日本海の厳しい潮風に適応し
地下茎を発達させて、細い根を地中にたくさん伸ばし
砂のなかにある水分を取り込んで成長します。


秋になると冷たい風が吹き
雪が降りはじめるころの風はさらに容赦なく吹き渡り
積雪量は少ないものの、触れるものみな凍らせる勢いで
風あたりの強いエリアといえます。


バラ花から得られる精油にはロウ成分が含まれているのですが
凍結を避けて冬期間を越す、進化の賜物なのだろうと思います。



はまなすの香り


花の香りは香水の原料にされますが
はまなす精油の流通は多くありません。
ときおり見かけてもかなり高額で
生産には相当テマヒマかかっているのだろうと拝察します。
はまなすの花にふくまれる精油は神経系に作用して
血管拡張作用があるといわれており、血行促進に役立ちます。


花を風通しのよいところで陰干しすると生薬になります。
玫瑰(まいかい)という漢方は、はまなすの花で
ストレスによる胃痛や下痢、月経不順などに使われてきました。
気の流れや血の流れをよくすることで
気分のイライラを鎮めるのに役立つといわれています。
あざやかなピンク色がのこるハーブティは
ほんのり甘く、バラの香りも楽しめます。


完熟するまえの橙黄色の果実は
焼酎に3か月ほど漬けて果実酒にすると
暑気あたり、低血圧、不眠症、滋養保険
疲労回復や冷え症の良薬になると伝えられています。



はじめる底力


花の女王と称えられるバラは
現地球史の薔薇文化を築き
愛と美の女神象徴として愛されてきました。
南のハイビスカスとともに
バラは北半球の品種改良花として
「特別な花」の地位を確立しました。


そんなバラの親種のひとつに
はまなすが使われていたと知るまで...というより
はまなすがバラ科バラ属であることさえ知らなかったころは
海岸でよくみる、毛虫がたくさんつく
トゲトゲしい植物と思っていました。


世界にこれだけ拡散された薔薇文化を思うと
はまなすの「はじめる底力」に思いが至ります。
結果重視の現実世界では評価されることの少ない
ものごとをスタートさせる力です。
ほんとうはどんなことにも元種が必要で
種がないと植物も育たず
花も実もつけることはできません。


はじめる力、スタートさせる力をもつ元種は
多くの人にとってなじみのない、目新しいことなので
承認されることも少ないように思います。
それどころか、多数派とちがうというだけで
誹謗中傷のターゲットにされやすく
風あたりの強い立場に立つこともセットになっているような。


(極端な例ですが)そうかといって自分自身も
日々コトバをつかって考えたり会話したりする中で
コトバのはじまりに携わった人々や
コトバをつかえるように工夫してきた先人に
思いを馳せるなんてことは、めったにありません。
一事が万事そのように
目の前にあることだけに意識が集中する性(サガ)を
どうしようもなく、もっているんだなぁと思います。


風あたりの強い日本海沿岸に群落するはまなすは
決して大きく育つことはありませんし
視線を釘付けにする華やかさも持っておらず
世界に通用する薔薇文化を形成してきた
いわゆるバラっぽい印象は微塵もありません。


吹きっさらしの日本海沿岸で
厳しい環境に適合するための工夫をこらして
可能性を広げ、トライしては挫折を繰り返し
データを蓄積する研究者のように
いまこのときも天からの影響を大地に流し続けて
薔薇文化の土台を担ぎつづけています。


はまなすをはじめとする
過酷な環境下で生きる工夫をつづける植物たちは
進化プロセスの叡智をもって、品種改良の礎となり
大きな文化を「はじめる力」を
惜しみなく提供してくれたハーブのひとつ。
知見を広げてくれたこともあわせて
感謝と愛おしさが弥増すハーブのひとつです。


☆☆☆


お読みくださりありがとうございました。
こちらにもぜひ遊びにきてください。
「ハーブのちから、自然の恵み。ローズマリーから生まれた自然派コスメ」
いまこそ!ナチュラルスキンケア
Shield72°公式ホームページ

アロマうるおうキャンペーン第2弾!
「洗う・うるおう」スキンケアの基礎をシンプルにコンプリート


4本コンプリ・セット10%OFF!送料無料
期間限定11月末日まで。
さらに会員さま限定、ポイント5倍同時開催中です。
会員登録は今がチャンス!

ローズマーから生まれたナチュラル・スキンケアShield72°


ローズマリーから生まれたナチュラル・スキンケアShield72°