aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

菊と野菊

地上の星


寒露中候には菊の花が香りたかく咲くころだよ、という花鳥風月が抜擢されています。


寒露の候、2023年は10月8日から。


鴻雁来(こうがんきたる)ツバメと入れ違いに雁が北から渡ってくるころ

菊花開(きくのはなひらく)菊の花がさくころ

蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)蟋蟀が戸口でなくころ


一般市場に流通している菊のおおくは園芸種で、もとは奈良時代に中国から伝来してひろがったと考えられています。



一般的な菊は、キク科キク属イエギク種と分類され、江戸時代には品種改良の腕を競うように観賞用の菊が花ひらきました。


平安時代には陰暦9月を菊月と呼び、旧暦9月9日は「重陽の節句」「菊の節句」の祝日と定められ、菊の文様は吉祥のしるしと考えられてきました。


菊花につく、夜つゆ・朝つゆを綿にあつめて邪気祓いとした「きせわた」については、72候【花鳥風月】処暑の候 2023|白木海月@Shield72°公式noteに綴っています。


菊は仙人の住むところに咲く花と考えられていて、この季節に濃くなる靄と露を媒介にして、仙人パワーを受けとる習わしだったといいます。

となると、白露の候から秋分すぎて寒露の候あたりのほうが露をたっぷりふくませられそうです。


9月9日は旧暦にすると10月中旬あたりなので、情緒と連動しやすいのは秋分をすぎてからかもしれません。


72候【花鳥風月】処暑の候 2023|白木海月@Shield72°公式note


菊花は鎌倉時代、後鳥羽上皇が菊をこのんで印として愛用したことから、その後も天皇の印として継承され皇室紋として定着した歴史があります。


鎌倉時代、後鳥羽上皇が菊を好み自らの印として愛用した。

江戸時代に厳しく使用制限された葵紋とは対照的に、菊花紋の使用は自由とされた。

庶民に浸透し和菓子や仏具などの飾り金具が作られるなど各地に広まった。


16弁の菊花紋章はパスポートに明示され、いまや日本国民であることのシンボルのように思えますが、じっさいは世界中の古代遺跡に散見しているデザインです。


古代シュメールや古代エジプトの遺跡から出土されていたり、エルサレム神殿の城壁・ヘロデ門にもとてもよく似た文様が刻まれています。




古代文明で使用されていた紋章は、神と人、あるいは宇宙と地球とのつながりをあらわすものであり、図案中の数や幾何学模様、神聖文字のなかにはたくさんの叡智がつめこまれているのだろうと考えています。


なかでも一筆書きができる典型的な花のカタチは、いっぽんの線でつながっている梯子や網や布などに象徴されるエーテル体をあらわしているようで、次元間のつなぎであると同時に星にも車輪にもみえるという、魔法成分満載のデザインなのかもしれないな、と。


「フラワー・オブ・ライフ」ドランヴァロ・メルキゼデク著 ナチュラル・スピリット

「フラワー・オブ・ライフ(1巻)」ドランヴァロ・メルキゼデク ナチュラル・スピリット



菊花紋は、一般流通しているイエギク種とはべつに日本では野菊とよばれる野生種をもとに、古の時代にデザインされたものなのだろうと想像しています。


原初スピリットがはじめての創造行為にふみだした点と線、そのむすびつきによるカタチは四大精霊にも受けつがれ、風媒花から虫媒花へと、植物たちがより地上的成分をつよめながら進化してゆくなかで、いわゆる「花」という概念のプロトタイプができあがったのではなかろうか、と。


キク科は学術表記で Asteraceae(アステラレス)、古典ラテン語の「星」を意味する「アスター」に由来し、古代ギリシャ語では「星」を意味します。


地上にかがやく星々(キク科植物)は、地球上どこでも生育可能とされ、もっとも進化し、もっとも分化しながら、地球環境に適応しました。


キク科植物にはコスモスやガーベラ、ひまわりなどもありますが、それらは野生種であっても野菊と呼ばれることはありません。


「野菊」と呼ばれるためにはいくつかの条件があり、ウィキには「野菊の範囲は、野生の植物でキクに見えるもの(???)のことである」と書かれています。


学術的にキクと菊(イエギク種)は区別されており「茎には葉がつき、花は大きすぎず、あまり背がたかくならず、葉のはじまりはロゼット状になっておらず、秋に咲くもの」にかぎって野菊とされるそうな。


自由に地上世界にひろがって、いまなお交配からの進化と分化をくりひろげる「花」のプロトタイプは、あまりに複雑で種もおおいので、整理分類はむずかしいということなのでしょうか。


野菊の名をたまわった地上の星たちは、ノジギク、ノコンギク、カワラノギク、ヨメナなどありますが、野生のキク科植物は自由に交配しながら、地球上に多様にひろがった植物グループのひとつで、日本だけでも350種ほど確認されています。


種の確認が追いつかないほどたくさんある野菊のなかで、日本の野生種代表のひとつに竜脳菊(りゅうのうぎく)があります。


竜脳菊


竜脳菊はインドネシアに自生する大木、竜脳樹がうみだす天然の香り結晶に似た芳香成分をもつことからその名がつけられました。



薫香料や薬剤として使用されてきた、歴史のふかい竜脳樹の天然結晶は竜脳(化学用語でボルネオール)と呼ばれ、世界中の香り文化になくてはならないものとして重用されてきました。


日本の古参ハーブである楠(樟・くすのき)から蒸留・加工して得られる樟脳(しょうのう)に香りがよく似ており、樟脳で防虫していた日本古来の香り集団記憶から「おばあちゃんちのタンスの匂い」としてなじみ深い香りかと思います。



カンフルあるいはカンファーと呼ばれることもある。

強く刺すような樹脂系の香りを持つ。

血行促進作用や鎮痛作用、消炎作用、鎮痒作用、清涼感をあたえる作用などがあるために、主にかゆみどめ、リップクリーム、湿布薬など外用医薬品の成分として使用されている。

かつては強心剤としても使用されていたが、今日ではその用途にはほとんど用いられなくなった。

しかし現在でも、「駄目になりかけた物事を復活させるために使用される即効性のある手段」を比喩的に"カンフル剤"と呼ぶことがある。

人形や衣服の防虫剤として、またゴキブリ、ムカデ、ネズミなどを避ける用に、また防腐剤、花火の添加剤としても使用されている。


天然で結晶化する竜脳、加工して結晶を得られる樟脳。


きほん見ることができない香り成分を結晶化させることができる植物は、人間界のうんとちかくいるという、「隣人」「身近な友人」と呼ばれる精霊たちの、止まり木なのかもしれません。


それとおなじ香りをもつ竜脳菊は、日本では民間薬として使用してきた歴史があります。


10月に開花するころは茎と葉に香り成分をたくさんもつので、根元から摘んで陰干したものを沐浴につかったり、生の葉をもんで生姜のすりおろしといっしょに湿布薬にしたりしていました。


血行をよくして、肩こりや腰痛、筋肉痛などの改善、からだが芯からあたたまるので便秘や消化器系の賦活、低血圧や冷え症の改善にもよいと考えられていたようです。



キクと寒露と天秤座の季節


天秤座成分には近道やショートカットをつかわず、地表スレスレをなめるような横風にのって、環状の道を一歩づつすすんでゆく性質があります。


善悪いりみだれる玉石混交の渦中に視点をさだめ、果実(事物)をひろいあつめながらも俯瞰した視点で事象・印象を整理する、ランド・ウォーカーの集大成がぎゅっとつまっているような。


天秤座成分の軌跡は、自らのひろげた羽模様をなぞりつつ、地表に一筆書きのしるしを刻印して「はじまりとおわりを結びます」と、天にむかって宣言する、地球惑星ならではのイニシエーションのようです。


地球独自のタイムラインを、またいだりはしょったりすることなく、さまざまな感情や知見をコツコツとひろいあつめて、陰と陽、表と裏、本音とたてまえを非難せずに見極める天秤座成分は、時の氏神さま視点をもっているのかもしれません。


ふたつに分岐し対立している事象はたいていの場合、時の経過とともに互いのポジションがまるっと入れかわったりすることで、双方の理解が深まり一件落着することがおおいですが、おなじ起点から右回りと左回りにすすんだもの同士が、道の途上で出くわしたときには、右回りにとっての過去や経験は、左回りにとっての可能性と未来で、その逆もまたしかりです。


雨ふって地かたまるとはいえ、豪雨まっただなかにいるあいだは、開封一発目の強烈パンチな樟脳の香りをくらうがごとく、好き嫌いが明確にわかれるもので、二極化したエネルギーはがっぷり四つに組んだまま、きめられた土俵のなかで運動エネルギーを発生させ、対立が強力で長引くほどエネルギーの産出量もたかまります。


ひとつとしておなじ雪の結晶はないといわれるように、人の数だけある土俵もさまざまで、まるい「たま」同士の衝突はシャボン玉のようにピタリとくっついたり、のみこんだりのみこまれてしまったり、あるいは衝突の瞬間にわれてしまうこともあります。


摩擦や破壊のエネルギーがあるかぎり、創造エネルギーも枯れることなくめぐりつづけ、それは固形化された世界であればあるほど、化学反応もハゲシイものになるのだろうな、と。


固形物まんさいでできている世界、というより固形物しか信じないのがふつうの地球世界で、みずからの羽に気がつき、肥やしてひろげるのは至難のワザといえますが、地球惑星というとくしゅな環境でうみだされた「結晶魔法」は、地球にうまれおちたことを条件に皆伝される究極の創造魔法なのかもしれません。


点からのびた線と線がむすばれ、面となるカタチができあがると、その中心にじわじわと固形成分になりうるスピリットがあつまり、精妙なエネルギーは分化・分離をくりかえし選別されながら、結晶、つまり固形物をつくりだすのだろうと想像しています。


秋分の日に精霊界にもどらず、人間界にふかくもぐりこんだ水精霊たちが結晶化して、地上の星がきらきらと瞬きはじめる天秤座の季節は、野菊たちの開花全盛期です。


地の理を知りつくすことで大地にしるしとなる羽模様を刻印する天秤座成分は、善悪二言論のまんなかで行司のように軍配をはためかせ、地球上でもっとも進化・分化に成功したキク科植物たちの適応力を踏襲しているかのようです。


万物の根源といわれるエレメンタル・スピリットは、天秤座の季節から結晶化をはじめて土元素界をすべらかな水元素でおおい、風元素のとおりみちをひろげてゆきます。


点は線になり、線は面をつくり、さまざまなカタチとなって地上の星とかがやく「花」を創造し、天秤座成分が肉体をこえるエーテルの羽をひろげるときの指針にもなってきたのだろうな、と。


「フラワー・オブ・ライフ」ドランヴァロ・メルキゼデク著 ナチュラル・スピリット

「フラワー・オブ・ライフ(1,2巻)」ドランヴァロ・メルキゼデク ナチュラル・スピリット


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