aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

ジャスミン 精油界のキング

リファレンスの香り


ジャスミンはモクセイ科ソケイ属の総称で
園芸種など含めるとジャスミンと名のつく植物は数百種に及びます。
アラビア語のヤスミン(yasmin 神からの贈り物)が語源といわれています。


ジャスミン



ジャスミンは柑橘とお花をほどよくマリアージュしたような甘い香りが特徴で、ほのかに皮脂や体臭を思わせる、有機的温もり...のような気配を醸します。


ごく個人的な香浴の感想としては、幾重もの透明な膜につつまれるような、肉体の周囲を分厚い透明クッションでまもられるような気分になります。


それはもともと、自分の一部だったものですが、ふだんすっかり忘れていて、ジャスミン、あるいはジャスミン様の香りで、思い出せるようにセットされてる気がします。


くちなしや水仙でもご紹介しましたが、主な香り成分の酢酸ベンジルは、まるでリファレンスになっているかのように「ジャスミンのような香り」と表現されます。
ジャスミンが主で、それ以外の植物はみなジャスミンのような、となるのです。


ジャスミンの花は夜ひらくので、夜の女王と呼ばれることもありますが、精油界のキングとも呼ばれます。



オプティミスト・ハーブ


10数年前のこと、アロマニア友人のひとりがハワイで1カ月ほど農園ステイをするというので、訪ねたことがありました。
サンバック種のジャスミンが咲き誇り、レイはもちろん、ジャスミンティーや、花を植物オイルに漬け込むインフューズド・オイル、石鹸も作っていて、中庭でそれこそ浴びるようにジャスミンの香浴をしていたら、みんなハイになり興に乗ってしまい、友人が最近知り合いになった前世リーディングをする人を呼ぼうということになりました。


その日はこちらのハイテンションっぷりにドン引きされてしまい、温度差ありすぎて今日は無理!とお断りされたんですがw、後日モールで待ち合わせして午後のお茶を楽しみました。
その方の本職は馬の調教師だったかで(記憶曖昧です)、合意的現実とちゃんと折り合いつけてる覚悟みたいなもの?が見て取れる、お互いにその姿勢って大事だよねってとこで意気投合して、ざっくばらんにお話も弾みました。


前世リーディング絡みでマウイ島の戦士のお話をたっぷりして頂き、数日前にマウイ戦士の聖地といわれるイアオ渓谷に行ったばかりだったので、こちらからも質問の嵐が止まず、ハワイの歴史話をたっぷり堪能できました。



ジャスミン(サンバック種)のことをハワイではピカケといって、ハワイ王朝最後の王女様が愛したジャスミンと孔雀(ピーコック)に由来していると聞きました。


サンバック種のジャスミンは、世界市場では主にジャスミンティーとして流通しています。
さわやかなグリーン調の香気が混じって、数あるジャスミンのなかでも水仙の香りにいちばん近いように思います。
そんな話も交えて、雪どけの香りがハワイのジャスミンに似ているなんて不思議だね、とお伝えすると、この香りは植物界のキングの香りだから、ある意味ロールモデルになっていて、地球上どこにでも出現するんじゃないか...という感想に、妙に納得してしまいました。


孔雀もたくさんの目を羽につけ、世界のすべてを見る力を象徴しています。
ギリシャ神話ではゼウスの正妻、女神ヘラの聖鳥。
百の目をもつ巨人アルゴスの死後、ヘラは孔雀の羽にその目を縫いつけたという神話が残っています。
自然界ではオスの方が美しいケースは多々ありますが、孔雀に至ってはまさにそれで、美しく強い雄・キングを中心に、種の繁栄をつないできました。
百の目で世界を見通し、ここに、あそこにと、キングの香りを種付けする。
そうやって洋の東西を問わず「ジャスミンのような」香りのハーブたちは、広がっていったんではなかろうか、と。



花の香り、フローラル調といえばローズを筆頭に、カモミールやゼラニウムなどが代表的です。
植物学者ニコラス・カルペパー(17世紀)は、情緒や感性、愛情、女性らしさを象徴する金星や月に、これらのハーブの性質をあてはめました。


かたやジャスミンは木星を支配星として、楽観的、楽天的、屈託のない、気楽さを象徴するオプティミスト・ハーブと位置づけました。


「ジャスミンは加温性があり、強心作用がある。

子宮を温め、呼吸器を温め、冷性・カタル性の体質に有効である。

神経と腱を開かせ、あたためてやわらげる」

ニコラス・カルペパー


「ジャスミンは気分を楽天的にし、度胸をつけ、高揚感をもたらす。

感情の鈍麻や、外界に対する無感動、無関心といった状態に役立つ」

ロバート・ティスランド



見えない煙


精油として流通しているジャスミンは、
・コモン・ジャスミン
和名、白木香(しろもっこう)
学名、Jasminum officinale(ジャスミナム オフィキナレ)


・スパニッシュジャスミン
・ロイヤルジャスミン
和名、大花素馨(オオバナソケイ)
学名、Jasminum grandiflorum(ジャスミナム グランディフローラム)
の2種類です。


ハワイでピカケと呼ばれるジャスミンは
・茉莉花(マツリカ)
・アラビアンジャスミン
学名、Jasminum sambac(ジャスミナム サンバック)
主にジャスミンティーの原料になり、精油もわずかですが販売されているようです。



日本で入手しやすいジャスミン精油は、エジプト産が多いかな、と思います。
花摘みは、香りがのこるように、やさしく手作業でしなければならず
夜開花するジャスミンは、早朝に花摘みを済ませなければなりません。


ローズと同じで、精油を採油するには大量の花が必要なので
お花の手摘み作業を思うと、高価なのもうなづけます。
ジャスミンの精油を使うとき、この精油のスピリットは
どんな人が摘んでくれたのかな...と、神妙な気分になることもあります。
どんな商品もそうですが、なにかが製品化される過程は
知るほどに尊さが増して、たいせつに使わせてもらおう、というキモチが自然と高まります。



アロマテラピーでは「匂いを感じる」というのは、分子である揮発性物質が、鼻の奥にある嗅細胞を刺激する感覚機能(嗅覚)であると習います。
ただ、嗅覚の機能については、まだ完全には解明されていないのが現実です。
個人的には化学的なスタンスで、ヒトのからだやハーブのこと、つまりスピリットを解明するのは無理なんじゃなかろうか、と思っています。


たとえば...

・ジャスミンの特徴成分はジャスモン酸メチルという化合物

・二重結合の位置により異性体になる>cis-ジャスモン・trans-ジャスモン

・cis-ジャスモンはいわゆるジャスミン香気

・trans-ジャスモンは脂肪臭があり、香料としての利用価値は少ない


というように、成分を切り刻み、エビデンスを積みあげて、学術的に説明する方向に進んでも、ヒトのからだ然り、ハーブとのホリスティックな関係性は築けないのではないかな、と。
もちろん研究されている方々をどうこう言っているわけではなく、それもまた尊い仕事のひとつ、と思っています。



「香り」「perfume パヒューム」の語源はラテン語の per‐fumum(煙を通して、煙によって)に由来しています。


香りよい香木、香脂を燃やして、煙を天に昇らせ、神に捧げる行為は、世界中で古くから行われてきました。


ハーブの香気成分は、ヒトには「見えなくなってしまった煙」のようにただよい、忘れてしまったエーテル成分のからだに作用して、(ついでに)肉体の不調も癒してしまうのではないかしらん。
百の目をもつアルゴスが死んだ(別の次元へ去ってしまった)とき、太陽や惑星、四大精霊たちとのエーテル的なつながりは、「見えない煙」になったけれども、肉体周辺を包むやさしい気配を思い出させてくれる、ジャスミンのような香りは、地球上のあちこちに繁殖して、いつでもヒトの嗅覚にはたらきかけてくれるのではないかな、と。



☆☆☆



お読みくださりありがとうございました。
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