aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

白檀/サンダルウッド 檀那から旦那さんへ

お線香の香り


日本ではお線香の香りでお馴染みです。
白檀、学名: Santalum album、精油界ではサンダルウッドと呼称されます。


サンダルウッド、白檀



BC5世紀頃にはすでに高貴な香木として使われていたことがわかっており
薫香として使用されてきたのはもちろん
古代エジプトではミイラづくりの防腐処理剤のひとつでした。
木材は寺院の建材や家具の材料として利用され
旧約聖書にあるソロモン王の宮殿は白檀の木でつくられたと記載があります。


最古の仏教経典集(スートラ)
釈迦の言葉を色濃く反映したとされる書物「中阿含経」に
釈迦が臨終をむかえるとき、弟子の阿難に
自分の遺体は白檀の棺に納め
白檀などの香木を薪にするよう指示したという記載があるそうです。


世界3大伝統医療のひとつ、インド・アーユルヴェーダでは
心身全体を冷まして鎮める作用があるとされ
循環器・消化器・呼吸器・神経系すべてに作用し
灼熱感を伴うような炎症を癒すと考えられてきました。



白檀は木そのものが、熱を加えることなく香るので
日本の香文化である香道で親しまれてきた歴史があり
練香や線香、お香などに加工され、すっかり定着した感があります。
昭和のころは白檀の扇子や、木の彫り物
数珠やブレスレットなど、目にする機会も多々ありました。
写真は白檀の彫刻、インド神のガネーシャです。



道なき道をつくる人


白檀は幹の心材、そのものに香り成分(約7割ほど)がある、めずらしい木です。
インド原産の半寄生性植物で、近場に寄生できる木がいないと枯れてしまいます。
成長速度はおそく、香り成分が充実するには60年くらいかかることから、インド産の白檀は枯渇が危惧され、伐採したら植林する義務があります。
現在ではインドネシアやオーストラリアに近種があることがわかり
白檀の産出国になっています。


白檀の主な香り成分、サンタロールは
合成がむずかしいといわれていますが
白檀様の香りを合成してつくる技術もあるので
香水やフレグランスは合成香料を使っているケースも珍しくありません。



仏教発祥の地、インドでは白檀をチャンダナ(candana・サンスクリット語)と呼び
ダーナ(dana) は「施し・お布施」を意味することばです。
僧侶は生活の全てを修行にささげる人で
生活人はダーナによって、自分たちに代わって毎日厳しい修行を行う僧侶への感謝の気持ちを表すものとして、生活品を僧侶に捧げました。


所感ではありますが、いっさい所有することなく修行する人
食も行動も思想も精進する人々は植物的になり
エーテル成分が多くなって「天・人・地」という梯子をスムーズに連携してくれる役割があると感じています。
道なき道をつくる人、ともいえます。
いちど道がつくられると、その後多くの人々が往来できるようになります。
人間界にも、きざはしを担う人々がいて
むかしはその役割分担も、もっと明瞭でシンプルだったのかもしれないと感じています。


壇はひとつのクラスターを意味することばで
文壇とか画壇とか、専門的な集まりをくくるときに使いますが
檀上というように、祭祀などの儀式を行うため
一段高くしつらえた場所を指すことばとしても使われます。


僧侶には霊的なつながりをもつクラスターをまとめて
自らは生活のいっさいを捨て修行に励み
見えない煙でつくられた一段目の梯子に
皆をつなげる役割をもっていたのではないかな、と思っています。



白檀は半寄生性なので
大地に根づくお仕事を半分、ほかの植物に任せ
天につながるエーテル梯子がゆるがないよう確立する
という役割分担があるのではないかと。


香り成分を心材にもち10メートル以上に成長する植生を考えると
インドエリアでの依り代として、長いあいだ活用されてきたんだろうなぁ、と思います。



もちつもたれつ、からの底上げ


お布施を意味するダーナの精神は
仏教とともに中国や日本に伝わり
「檀那(だんな)」という漢字が当てられたそうです。
与える人が檀那というわけではなく
その事象、行為そのものを指す言葉だったようです。


日本語のお布施ということばにしても、
布は、エーテル体をあらわし
施は、人のためにして報いを求めない、あまねく行きわたらせる、おこなう
という意味があったと思います。


日本では江戸時代の寺請制度

寺院の住職が一般の人々の身元を保証してキリシタンではないことをお上に報告する、保証された家長は寺にお布施を払い、法事を依頼することを義務付けた。

から、一家の家長が寺に布施を払う檀那→旦那とされ
ダーナの意味が変化していったようです。


見返りや義務、等価交換的な精神が少しでも入りこんでしまうと
感謝の意は伝わらないですし
雇われ人、奉公人が家長を「旦那さん」と呼ぶようになって
面倒を見てくれる、お金をくれる人という意味合いが強くなりました。
商売人にとっては客も「旦那」になりました。
現代では外で稼いで家に持ってくる家長を「旦那」と呼びます。


日本では、施しやお布施の精神は
モノやお金をくれる(あげる)という具合に変化してしまった感があります。


さらにいうと
「天界と地上界に渡りをつけて
植物的エーテル成分を強化して
天につながる梯子をかける」といっても
代価をお支払いする仕事と認めてもらえないどころか
社会参加すら危うい人になってしまいます。



最上品質といわれるインドのマイソール産白檀は
絶滅危惧種としてインド政府が生産をコントロールしていますが
日本ではダーナ(檀那)の精神も危ういものとなっているように思います。



以下は「落語の世界を歩く」というサイトから引用させてもらいました。
第69話落語「百年目」 
大旦那と番頭のやりとりの一節です。

「一軒の主を旦那と言うが、その訳をご存じか」


「いえ」


「それは、『五天竺の中の南天竺に栴檀(せんだん)と言う立派な木があり、その下にナンエン草という汚い草が沢山茂っていた。


ある人がナンエン草を取ってしまうと、栴檀が枯れてしまった。


後で調べると栴檀はナンエン草を肥やしにして、ナンエン草は栴檀の露で育っていた事が分かった。


栴檀が育つとナンエン草も育った。


栴檀の”だん”とナンエン草の”ナン”を取って”だんなん”、それが”旦那”になった』という。


こじつけだろうが、私とお前の仲は栴檀とナンエン草で上手くいっているが、店に戻ってお前は栴檀、店の者がナンエン草、

栴檀は元気がいいがナンエン草は元気が無い。

少しナンエン草に露を降ろしてやって下さい」

日本では栴檀(せんだん)または楝(おうち)の木は
白檀と混同されてきた歴史があります。
落語のなかでは、オチとしてのフィクションでつくられたお話だと思いますが
噺家さんはさすがに上手にまとめていらっしゃるなぁと思いました。



☆☆☆



お読みくださりありがとうございました。
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