aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

没薬/ミルラ 太陽神の涙

固めて落ちつかせる香り


没薬(もつやく)は、カンラン科の樹木で
世界に200種ほどあるコンミフォラ属の木から分泌する樹脂です。
スーダン、ソマリア、南アフリカ、紅海沿岸の乾燥した高地に自生しています。


没薬 ミルラ



古代エジプトで防腐処理のためにミイラ作りに使用されていたことから、ミルラと呼ばれるようになった説は根強いです。


没薬の香りは鎮静、鎮痛効果が有名で、ミイラづくりから想像すると分かるように、固める、鎮める、落ちつかせるはたらきがあります。


乳香と並んで、世界的ベストセラー・聖書には多数の記載があり、聖所を清めるために焚かれ、イエス・キリスト誕生の贈り物となり、イエス・キリストの遺体といっしょに埋葬された記述がのこっています。



没薬は古代ギリシャ医学で重要な生薬とされていました。
ディオスコリデスの「薬物誌」には
「(没薬の)薬効は暖め、粘液の分泌を抑え、催眠、収斂作用などで、豆粒ぐらいの量を服用すれば慢性の咳、脇腹や胸の痛み、下痢、血性下痢などを治療する」とあります。


ミルラは古くから口中トラブルに使われており、歯肉炎や歯槽膿漏に、はちみつティースプーン1杯にミルラ油を2滴入れて口に含む処方があり、現代ではミルラの殺菌、脱臭作用を活用したミルラチンキもあり、西洋では咽の炎症に塗布剤として利用しています。


「本草綱目(1500年代の薬学書)」では
「乳香は血を活かし、没薬は血を散らし、いずれも痛みを止め、腫れを消し、肌を生じる。よってこれらはいつの場合でも合わせて用いる」と記載されています。
「日本薬局方」にはミルラとして収載されています。



香は狼煙だったのか(も)


前回のブログでも紹介しましたが、没薬は乳香とともに、古代エジプトでは重要な香料として、日々の暮らしや神事に欠かせないものでした。


「前回の記事より」


日の出に乳香

正午に没薬

日没にはキフィが焚かれたといいます。


乳香は太陽神ラーの汗であり

ミルラは太陽神ラーの涙

キフィは瞑想のために焚くものだったといわれています。


24時間という1日のサイクルのなかには4つのポイント(時空の裂け目)があり、それは
・日の出
・正午(午後12時)
・日の入
・正子(深夜0時) といわれています。


祈りや瞑想は、そもそも人知を超えた存在との逢瀬、つながりを回復するためのものなので、日の出、正午、日の入に香を焚くのはごく自然な在りようだったのだと思います。


太陽神ラーはハヤブサの頭をもつ神として、ホルス神と習合され、日の出とともに、地上世界にも姿を現すと考えられていました。


日の出にはスカラベ(聖なる甲虫)として東に現れ
日中はハヤブサの姿か、太陽船に乗って空を移動し
そして夜は雄羊になり夜船で死の世界を旅する、と。


肉体をもつ人間としてその活動が絶頂期を迎えるのは正午で、陰陽五行説でいうところの陽極まる時間帯です。
陰陽は比較論なので、肉体は陽、エーテル体は陰となります。
いってみれば物質性、固体性を強化するほど、陽気が強まり、魂は肉体にしっかりと根付き、タマシズメされる、と。


そこで焚かれるのが没薬だったということは、没薬は陽気を強める香だったのかな、と想像しています。
陽極まって陰に転ずるため、つまり日没にはキフィの香とともにエーテル界に戻るため、深く深く地に沈みこんで跳躍力をためこんでいるような。
さらに没薬を焚くことで「自分の肉体はここにある」と、その地点・ポイントを、ハヤブサ(太陽神)にお知らせしていたのではないかな、と。



陽極まれり、仙の秘儀


神話に登場する神々や仙人はみな独自の地上降下ポイントをもっているように思います。
神という概念を星の系譜と捉えるなら、オリオンたるスサノオやオーディン、シリウスたるイシスやツクヨミ、プレアデスたるアマテラスや巨人族アトラスの7人娘などがいて、それぞれ(その星の意識体というか生命体のような…)が降下できる場所は決まっているのではなかろうか、と。


聖書のヨブ記に「あなたはプレアデスの鎖を結ぶことができるか。オリオンの綱を解くことができるか」という一文があります。
これは星の系譜によって、かけられる梯子がそれぞれあるんだよ、ということではないのかな、と。

ヨブ記のおはなしはハトムギで紹介しています。



神々(星々)の地球降下ポイントは、神話のなかにその片鱗がうかがえます。
神の創造物としての精霊や半神が、植物に変化しましたという物語の多くが、それではないかと考えています。


没薬は「自分の父親を愛した女性が変化した木」という神話がのこされており、その木からアドニスが誕生します。

アドニスのお話はアネモネで紹介しています。



没薬の変化物語は占星学のサビアンシンボル、蠍サイン17度そのものという感じがします。
「自分自身の子供の父である女」、または
「自分自身の霊によって受胎する、神の子を宿す偉大な女性」


面壁9年の達磨大師はエーテル体の陽人を腹から生み出したといわれていますが、まんま文字通りの秘儀があるとするなら、没薬樹に化身したミュラーは仙の秘儀によってアドニスを生むことができたのかもしれないな、と。



プントで唾つけた(的な?)


地上降下は肉体をもって誕生するのが一番てっとり早い方法と思いますが、いっさいの記憶をなくすほど、肉体世界とエーテル界・アストラル界のあいだに断絶をもたらします。
「行きはよいよい、帰りはこわい」です。


古代エジプトでは、死んだあと何千年でも腐らないよう肉体をミイラにして保存し、地上との接点にしていたのではないかと考えています。
その際の妙薬として、没薬、乳香をはじめとしたさまざまなハーブが使われたのだとしたら、地球の入り口には乳香、地上の陽極まるところまで降下するのに没薬、地球から古郷星にもどるためにはキフィ(秘密の調合・ブレンドしたもの)が必要になるのかなと妄想しています。


古代エジプト人は没薬をプントと呼んでいました。
プント(punto)はスペイン語やイタリア語で、点や地点(ポイント)を意味します。
没薬(ミルラ・プント)は、地上に梯子を下ろすポイントを示す重要な香りで、古代エジプのファラオたちは、古郷星とのつながりを失わないよう、没薬を混在した調合ハーブで自らの肉体を固めたのではないか、と考えています。


古代エジプトには、最初の人間は太陽神ラーの涙から生まれたという神話があります。
ファラオの系譜は神々の子孫とされラーの息子と考えられてきました。
ファラオが死ぬと、ホルス(太陽神ラー)は地上に梯子を降ろし、太陽船で霊を迎えに行くと伝えられていました。
ツタンカーメンのホルス(ウジャト)の目の胸飾りは、つとに有名になり、現代ではさまざまなアクセアリーのモチーフにもなっています。



植物のもつ香り成分は、人工的に「真似」はできるけれども、すべての香り成分を再現して、まったく同じものをつくることは、現代の化学をもってしてもできません。
また香る植物が秘儀・神事に欠かせないものだったことや、黄金と同じか、それ以上の価値がある財産と考えられていたのは、日本風にいうと家宝のようなもので、系譜ごとの秘儀ブレンドがあったんだろうなと想像しています。


古郷星とのつながりを思い出し、戻り道となるエーテル梯子の1段目は、植物の香り成分が醸し出す、見えない煙でつくられるのかもしれません。



☆☆☆



お読みくださりありがとうございました。
こちらにもぜひ遊びにきてください。


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