aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

オオバコ みんなお宝

足底お借りします


オオバコ(大葉子)は、学名 Plantago asiatica、
オオバコ科オオバコ属の多年草、どこにでも、よくみかける野草です。

オオバコ


みかける場所が道端やのっぱら、校庭のすみっこ、ワダチに沿って生えていたりして、踏みつけられ、汚れてる印象も強いので、オオバコと呼ばれるより「雑草」認定されてる感がつよいでしょうか。


ほかの植物が育ちにくい、人や動物(昔は馬車など)が行き交う場所、つまり踏みつけられる場所を、あえて選んだオオバコは、茎を地中にしまい、ロゼット状に葉を広げます。
花だけは茎を立てて伸びますが、水にぬれるとゼリー状の粘液をだすので、雨上がりや露の降りたころにさわるとベタベタします。
花が終わると種を落とし、また風に運ばれ、さらにはベタベタ作戦で靴底や動物、車輪にくっついて種を運んでもらいます。



地方によっては「オンバコ」「カエルッパ」と呼ばれるのを聞いたことがあります。
車前草(しゃぜんそう)、スモトリグサ(相撲取り草)の異名もあります。
子どもの頃、棒状の花茎を二つ折りにして交差させ、引っぱりあっこして切れなかった方が勝ち、という遊びをしていましたが、スモトリグサという別名があるのは、ハーブの勉強をはじめてから知った名前です。



十勝で農業を営んでいた祖母は、オオバコの葉を摘んで煮だしたものを、のどの痛みに良いと作ってくれました。
祖母はオオバコやイタドリ(スカンポ)、ヒレハリソウ(コンフリー)など摘んできては、煮たり茹でたりしながら、「クサはみんなお宝」と、誰にともなく、よくつぶやいていました。



温故知新


オオバコは車前草という名で日本薬局方に収録されている生薬ですが、最近では水を含んで粘性ゲル状になる性質が着目され、満腹感が得られることや食物繊維が豊富なダイエット食品として出回るようになりました。
また小麦に代用されるグルテン・フリー食品として、サイリウムの名でも販売されています。


おからとサイリウムで作るパンや、サイリウムとお砂糖でつくるゼリー(というか、もちっと感があるのでわらび餅風)。
ほかにもお好み焼きや、タコ焼き、ピザ生地など、米粉でつくるときに少し混ぜるなど、いろいろな使い方があります。


チアシード、バジルシードと、ゲル状になるスーパーフードはいろいろ流行りましたけど、つぎにサイリウム(オオバコ)がきたら、「雑草」認識も変わるかもしれません。



祖母の目には、どんなクサもお宝に見えていたのかと思うと、もっと生前にいろんなお話がしたかったなとしみじみします。
それでもこうしてハーブに親しんでいると、祖母のあったかくて可愛らしい気配を思い出します。
祖母は「クサ」ということばと、いつも一緒にいるような気がします。
「クサはお宝」とつぶやいていた印象が、深く心に刻印されています。



お宝さがしがはじまるよ


自然界のお宝といえば、なんといっても秋の実り。
9月に入り1年の折り返し、秋分の日も近づいてきました。
二十四節気七十二候では、明日から白露の候。
朝もやが濃くなり露がキラキラと輝く季節に入ります。



秋は野に入り山に入り、薬草、茸、木の実など、お宝さがしに胸躍る季節です。
春分のころから芽吹いたいのちが、あちらこちらで結実しています。
昔の日本では秋の暴風(いまでいう台風)を、野分(のわき)と呼んでいました。
野の草を吹き分けるほどの強い風は、秋のお宝を見つけるのにきっと一役かってくれたことでしょう。


「野分晴れ」というと「風の道をたどってお宝探しにいこうか」みたいな、ワクワクした感じが伝わってきて「台風一過」より、風情があるなぁと感じます。



秋分のお宝さがしは、春分から受けとってきた地の恵みを再確認するところから始まる、と感じています。
自分をとりまく環境にあるものを、創造活動の成果として「見て」みる。
お山に入らず身近な環境でも、秋の収穫、お宝さがしを楽しみます。


・創造は自己分化、はじめのイメージはしゃぼん玉のようにフワフワ

・創造活動がくりかえされ強化されると、イメージは少しづつ物質性をまとう

・自己分割した創造物が出現して、身のまわりをとりかこむ

・周囲をとりまく地上的な創造物に充足したら次のステップへ


こんな風に書きだしてみると、なにか特別な創造プロセスが必要なのかな?なんて感じがしますが、じっさいは誰もが毎日、毎秒やっている、思考活動、印象や食べ物の消化のくりかえし、そのものです。


機織りのように1本づつ、糸を積みあげるように、生のいとなみをくりかえしているから、いま着ているものや食べているもの、人間関係や目に映るものが身近にあるのだろうな、と思っています。


それらはつながり大きな一枚布になって、見えない天幕のように人を包んで、気配や雰囲気を醸成します。
見えない天幕からは無数の糸が伸びており、身のまわりの持ち物やご縁の深い人、場所とつながっているのだろうな、と。



結実した果実は因果の「果」なので、「因」の側にある印象や気配を整理できれば必然的に収穫物にも変化が起こると考えています。


物質や肉体は地の恵み、結実したお宝ですが、見える輪郭を拡大して、感じる輪郭、匂う輪郭、聴こえる輪郭、温感輪郭なども視野に入れると、秋のお宝さがしがより一層楽しくなると感じています。



☆☆☆



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