aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

エーデルワイス 銀の星

星型にひらく白綿毛


エーデルワイスは和名をセイヨウウスユキソウ(西洋薄雪草)、ヨーロッパアルプス地方に自生する、高度2000-2900mの石灰岩地を好むキク科の高山植物です。


スイスの国花として広く知られているエーデルワイス、学名 Leontopodium alpinumは、野生種が激減して、1900年初頭に採取禁止条例が発令されました。


銀の星 エーデルワイス


エーデルワイスの起源を調べるているなかで、ヒマラヤ、シベリア原産地から約2万年前にアルプス地方に渡ってきたという記述には目を引かれました。
エーデルワイスは多種ありますが、それらはピレネー山脈からトルコの山岳地帯までに生育し、中央アジアの高山、シベリア、パミール高原、西ヒマラヤまで確認されているそうです。


日本でも近種となる岩手のハヤチネウスユキソウ、礼文島のエゾウスユキソウなど、高木が育たない環境・森林限界線にウスユキソウ属が自生しています。


地球史において氷河期・寒冷期があった2万年以上むかしには、エーデルワイスが地上のあちこちに咲き誇っていたのかもしれません。


星型の白い花のように見えるのは変形した葉で、ほんとうの花は中央の黄色い部分です。
ほかの植物が根付くことのできない過酷な環境下で成長するため、寒さだけではなく、乾燥や強い紫外線から身を守るため肉厚で、こまかい綿毛に覆われています。



5枚の花弁をもつ花は多いですが、植物たちが表現する五芒星には「地上のいのちは天空の星たちから、創造の光線を受けとるレセプター」という秘密の記憶が隠されているような気がして、つい星の香気を想像してしまいます。



黄金比と72°


五角形は純粋な、いのちの可能性を、まもりつつ、遊びつつ、天衣無縫に天真爛漫に広げていくカタチと考えています。


五芒星のすべての線は、交差する線で1対1.618の黄金比率になります。
ウィキペディアの黄金比説明には

・縦横の長さが黄金比の長方形は、安定した美感を与える

・黄金比は名刺をはじめとする様々なカード類などに適用されている

・黄金比はパルテノン神殿やピラミッドといった歴史的建造物や美術品の中に見出すことができ、意図的に黄金比を意識して創作した芸術家も数多い

・自然界に存在する植物の葉脈や巻貝の断面図などは黄金比に近い

などがあります。



星々の叡智をうけとめ、純粋に表現しているかのような五角形、五芒星には、きっと見るだけで人を回復し、元気にする魔法が潜んでいるに違いない。
そんな思いから、いま取り組んでいる仕事で企画制作した製品のロゴマークには、うっすらと五芒星が光る五角形を配しました。


占星学で出生図を作るときに、五角形の内角72°で結ばれるふたつの感受点をキンタイルと呼びますが、それは
「共同して遊び性を発揮すること」
「夢や希望、自由と冒険心を存分に発揮すること」
という意味があります。


五芒星も五角形も、天意をそのまま地上で表現しようと花開く、とくべつなカタチなのだろうな、と考えています。


【五角形物語】

ブランドネーム、ロゴマーク、オーガニック精油と天然由来成分へのこだわり等々、製品開発のキセキをまとめた記事です。よかったら遊びに来てください。





ライオンの小足


エーデルワイスの学名 Leontopodium は「ライオンの足」という意味なのですが、ライオンも1万年ほど前までは、ヒトに次いで地球上に広く分布する大型の陸上哺乳類でした。
野生種は寿命こそ短いけれど、むかしは広く分布していて、近代において激減し、ヒトの手によって飼育・繁殖されているという点がエーデルワイスと似ています。


エーデルワイスはヨーロッパ人に深く愛されてきた花です。
愛されたがゆえに、ニックネームもたくさん持っています。
・ウールの花
・小さなライオンの足
・氷河の星
・銀の星
・アルプスの永遠の花


のちに「高貴な白」を意味するエーデルワイスという名を、ドイツ語圏の有名な植物学者たちが使いはじめたことで定着します。
ヨーロッパの自生地では、古くから消化器と、呼吸器疾患の処方薬として民間療法で使用されてきました。
さらにほかの薬効にそった呼称


バウホヴェーブレーム(腹痛草)
ルールクロイテル(赤痢草)
ブルートゥンゲンクラウト(肺血草)
なども、記録に残っています。



ヒマラヤ・シベリア原産とされるエーデルワイスですが、ヨーロッパ人の心を深くつかみ、大局の思想を象徴するフラッグ・サインとして、または企業理念やブランディングのメイン・イメージとして、現在も広く使用されています。


反対思想が台頭した時期もあったようで、1800年代後半には、トム・ソーヤの冒険などで有名な作家、マーク・トウェインによって
「魅力的でもなく、白でもなく、ぼんやりとした花は、悪いシガーの灰のような色だ」
「スイスの醜い人気者」
など、ひどく酷評されました。
それでも神秘的な背景や植生もあいまって、花の人気は高まるばかり。


美しい天使と出会った登山家が、叶わぬ恋心への救いを祈り、天使はその地にエーデルワイスの花を残して天にもどった、とか。


男たるもの愛する女性のために、命がけで険しい山の岩壁を登り、エーデルワイスを摘んで、愛と勇気を示すのだ、とか。


エーデルワイスには魔法の力が宿っており、香として焚いた煙は、家畜を悪霊から守り、とくに乳房炎を引き起こす霊を追い払う、とか。


「小さなライオンの足」を守る者たちは後を絶たず、いまもエーデルワイスのすばらしさを語り継いでいます。



まもる者たち


獅子座のアルファ星レグルスは、ちょうどライオンの胸から前足あたりに輝く星です。
レグルスはラテン語で小さな王を意味します。
ギリシャ神話では悪役象徴だったネメアの獅子も、もっともっと昔には地上を広くおさめる王様だったのかもしれません。


日本の狛犬の起源はペルシャ、インドにおける獅子を象った像、という説があります。
古代エジプトやメソポタミアでも、神域を守るライオンの像がおかれていました。
ライオンの頭をもつ、セクメト、バステトは太陽神ラーの左目から誕生した女神たち。
古代オリエントでは、聖なるもの、神や王位の守護神をライオンとしており、スフィンクスもその流れといわれています。


時代の変遷とともに英雄や王権は変わってゆき、前時代の王は地上の栄華を譲るとなぜか貶められるという構図は、この地球史特有の常套プロットなんでしょうか…?


日本でシシ神様というと、イノシシや大鹿も含めてシシ神です。
猪鹿蝶のちょうちょには牡丹の花が描かれ、百花の王・牡丹は百獣の王・ライオンの比喩のようにも思えます。


日本の古語でシシは「宍」であり「肉」のことでもあります。
シシは動物肉でおもに鹿と猪のこと、つまり小さな王たちは狩りの対象、食肉動物の位置にまで貶められてしまいました。



日本は秋津国、トンボの国とうたわれた神武天皇のことばには、トンボはたがいの尻尾を噛んで、対(つい)なるものが、やがて番(つがい)になる、という意味があるのだと思っています。
相対するものは、たがいの役割を順巡りに入れ替えて、輪廻する、と。


秋津国(日本)は世界の縮図、ひな形という説もありますから、この地球世界のことを詠んだ歌なのかもしれません。


エーデルワイスもシシたちも、地上で栄華を極めたり:影を潜めたり、守ったり:守られたりしながら、星から降りてくる運命の糸車を、まわし続けているのかな、と。




お読みくださりありがとうございました。

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*当ブログで紹介している植物の一般的な性質は化粧品の効能を示したものではありません。