aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

ロドソルスマリヌス 海と炎が出合う場所

火山の恵みは地球のDIY


地球上でもっとも活発な活火山といわれるキラウエア火山。
ホットスポットとして有名なハワイ島でいまも噴煙を上げ続けています。
火口から流れ出た溶岩は、海に流れて急激に冷やされ、地形を複雑なものへと変化させてゆきます。
起伏にとんだ海岸線や海底には多くの生命が生息し、豊かな生態系が育まれます。

火山活動で流れ出た、粘性の低い溶岩流は、地表を炎で包み、のみこみながら、山の形を変え、広大な平野を出現させます。
そこに降り積もった火山灰は、炎を鎮静化しつつ浄化して、水はけのよい、栄養たっぷりの土地として生まれ変わります。


粘性の低い溶岩は、土地の裾野を広げ、雄大で豊かな平野を。


粘性の高い溶岩は、途中で流れを止めて、冷えて固まり、地形に高低差を生み出しマイナスイオンたっぷりの滝を。


火口のくぼ地には水が湛えられ、やがて湖を。


噴火による噴出物はスポンジのように小さな穴がたくさん空いているので、水分を蓄えやすい地質となり、地下水をたっぷりと含む山麓を。


地下水はマグマなどの熱で温められ、ミネラル分やイオン、炭酸ガスや硫黄、ラドンなどが含まれた温泉地帯を生み出します。


ハワイは1898年からアメリカなので温泉文化こそ育まれなかったようですが、活火山の島国である日本の温泉は火と水の融合ヒーリングともいえる世界に誇れる文化です。
温泉水に含まれるさまざまな化合物の効能もさることながら、土地のエネルギーを直接受け取ることのできる湯治は、未来永劫大切にしたい伝統療法といえます。


キラウエア火山


ハワイ神話の神々


ハワイ神話「クムリポ(ハワイ語で起源という意)」に登場する半神カマプアアは、人間と豚と魚に変身できる半神です。


カマプアアという響きが可愛らしくて、世界的に有名な女神ペレとその娘・森とフラの神様ラカとともに、すぐに覚えた神様のひとり。
カマプアアはハワイ語で「豚の子供」という意味だそうですが、魚に化身するときはハワイの州魚、フムフムヌクヌクアプアア(これも響きが可愛らしい)に変身します。
海中でブーブー鳴く魚と聞いて、いっきに興味が掻き立てられ、シュノーケルで出会える海を探して会いに行ったのは20年ほど昔のこと。


ほんとうにブーブー鳴くのか知りたくて、水の中でしばらく耳を澄ませましたが…
ん~よぅわからん。となり、心を鎮めて、頭のおしゃべりをとめて、再挑戦。
ん~…でも、やっぱりよぅわからん。
次の日、海にオリーブオイルをもっていき、口のなかに含んで潜りました(イルカのメロン体を真似てみた)が、やっぱりブーブーの鳴き声は聞こえませんでしたw


それでも面白かったのは、フムフムさんたちは人間を怖れていないようで、こちらが耳を澄ませて意識を集中したせいかもしれませんが、「何か用?」とばかりに目前に寄ってきたり、腕やふくらはぎを細く出張った口でつついたりしてきます。
時代を超えて半神カマプアアの化身に出会える海潜りは楽しくて、温泉療法と同じくらい、心身浄化になると感じました。



神話からソープオペラまで


神話元型は霊験あらかたなるものから、ドタバタ愛憎劇のソープオペラまで、幅広い物語となって地上に展開されています。


文字をもたず口承で伝えられてきたハワイ神話を文字起こししたのは西洋人なので、どんな魚心-水心があったのかは計り知れませんが、いまに伝わるハワイ神話は嫉妬やら復讐やら、パワーゲームの真骨頂です。


カマプアアは妻である火山の女神ペレと争うようになり、
火山を噴火させるペレの炎の御業が炸裂し、対するカマプアアは大津波や大雨で水の御業を発動。
最終決戦でカマプアアが敗れ、フムフムヌクヌクアプアアに姿を変えて溶岩流が煮えたぎる川を泳いで海まで逃げたというオチです。


現代でもキラウエア火山口に降臨場所を決めた女神ペレに、豚とフムフムヌクヌクアプアアが捧げられているそうです。


海と炎が共同して生み出す物語の激しさは、溶岩が流れ込む海域のごとく、人の心を興奮と熱情のるつぼに誘いますが、視点を変えて自然のいとなみの一部と見るならば、豊かな地形と海域を創りだし、多くの生物を生み出す恩寵となります。



愛憎劇にまで分化され、地上化された昼メロチックな神話は、民族に根づく神話元型となって、民族魂に反映されてしまうのでしょうか。
ポリネシアの神話元型からは、火山の女神ペレを中心とする「かかあ天下」っぷりが。
ギリシャローマ神話元型からは、色恋沙汰大魔王のゼウスと嫉妬に燃える美しき正妻ヘラを中心とする「トロフィー・ワイフ」っぷりが。
日本神話元型からは、やんちゃなスサノオとしっかり者のアマテラスを中心とする「男子の尻拭いをする女子の構図」が。
民族魂に刷り込まれた普遍的な関係性みたいで面白いです。
ソープオペラ仕立てにされる前の神話にさかのぼり、象徴の断片をひろいあつめて、謎解き紐解きすることも、五十路を超えてからのライフワークになりました。



オーシャンエントリーの生命体


キラウエア火山はここ数十年のあいだ連続的に噴火をかさねて、オーシャンエントリー(溶岩が海へと流れ込む)動画もアーカイブで見ることができます。


ハワイ島キラウエア火山、溶岩が流れ込む海域に生息する希少な微細紅藻「ロドソルスマリヌス」から、有効成分の β-カロテンを抽出したナチュラルオイルは、知る人ぞ知る、化粧品業界期待のニューカマー。


火山の女神ペレのお膝元、そしてカマプアアのふところである海に抱かれ、水と炎のダイナミックな物語のなかで誕生した生命体です。
原初の地球パワーを彷彿とさせる、ラジカルでプリミティブなエネルギーに満ちているようで、個人的にも注目している成分のひとつです。



気体-液体-物体のあいだを行き来しているようなフシギ生物たちは、肉体を超えた領域の、中層重心となるエーテル体を、強化してくれるような気がしてなりません。
こちらの世界にもあちらの世界にも梯子の降下場所をもち、「どこでもドア」をつかって二重生活をおくっているような。


夜明けの朝もや
海岸線に根づくハーブの香り
香草からつくられた水蒸気やけむり
海藻・海草
クラゲ
イカ
タコ
エビ
透明な魚や羽虫、両生類
透明花サンカヨウ
伝説花うどんげ


フシギないのちは4つの元素、火と風と水と土を自在にあやつり、エーテル体から気体へ、気体から液体へ、液体から物体へ、そのまた逆方向へも、次元を自在に往来できる、トリックスター象徴なのかもしれないな、と思います。


海と炎が出合う場所で、4元素の精霊たちは激しく舞い踊り、分化と融合をくりかえして、フシギないのちを次々と創造している、そんな気がします。



☆☆☆


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*当ブログで紹介している植物等の一般的な性質は化粧品の効能を示したものではありません。