aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

マリーゴールド 虹のたもとの金の壺

皮膚(からだの境界線)を守る


マリーゴールドは別名がたくさんあります。
花の色と形が、金の盃のようだから金盞花(きんせんか)。
学名の Calendula から、カレンデュラとも呼ばれます。
ラテン語の Calendae(カレンダー・月のはじめ)が名の由来で
「月のはじめにいつも咲いている花」と認識されるほど
開花期が長いことから名づけられました。


月のはじめについては、古代ローマで
暦をつかさどる僧侶が新月の現れた直後に人々を集め
つぎは何日後に満月になるかを知らせていたといいます。
つまりカレンダー(月のはじめ)は、新月のころを意味することばでした。

カレンデュラ、ポットマリーゴールド、キンセンカ



原産地は地中海沿岸
植物学上では春咲きの一年草に分類されますが
宿根草もあり、冬越えをすることから
「冬知らず」の名でも知られています。


日本では観賞用、園芸種として認知されていますが
ヨーロッパではハーブであり
エディブル・フラワー(食用花)として古くから活用されてきました。


花びらを乾燥させたハーブティは日本でも入手しやすく
カレンデュラ、またはポットマリーゴールドの名で販売されています。


ヨーロッパでは皮膚や粘膜の修復をし、殺菌作用があり
身体の内側の炎症を抑制するハーブとして有名で
スープやシチュー、バター、チーズなどの色付けに利用されてきました。


カレンデュラは、傷やしもやけ、床ずれなど
皮膚のトラブルに役立つハーブとして有名です。
ホホバオイルなどに2種間ほど漬け込む浸出油は
簡単に仕込めることもあり、わが家の常備薬のひとつです。


包丁で指を切ったり、サカムケを深く剥いてしまったときなど
カレンデュラオイルをまめに塗ると
治りもはやく傷跡も目立たなくなります。
(個人的な実感です)


アメリカ南北戦争のとき、戦場の医師はカレンデュラを活用して
傷の手当てをしたと伝えられています。
別名、皮膚のガーディアンとも呼ばれています。



神話のヘリオトロープ


カレンデュラはハーブティーとして飲んだり
サラシにくるんでハーブバスにしたり
食用ではドレッシングにいれておくと
サラダの彩りも風味もよくなります。


ポプリとして小皿に飾り
精油をたらせばルーム・フレングランスにも。
なんどか使ったものは香りがしみ込んでいるので
匂い袋に入れてタンスや洗面タオルの棚においています。


園芸用のカレンデュラ(またはキンセンカ、マリーゴールド)は
属がちがうものがたくさん出まわっています。
ポットマリーゴールドの名でハーブとして流通している種なら
飲んだり塗ったりして使用できます。


現代ではとても身近なカレンデュラですが
ギリシャ神話・変化物語のひとつに登場するハーブでもあります。


ペルシャの王女レウコトエは太陽神に見初められ
父であるペルシャ王によって人柱となり
乳香樹(フランキンセンス)に変化したというお話があります。


☆乳香/フランキンセンスのものがたりはこちらの記事にも☆


この神話にいっちょかみしている水の精霊クリュティエは
9日間太陽神を見上げ続けて可憐な花に化身し
その後もずっと太陽を見続けている、という神話です。


いつでも太陽をむく花は
ギリシャ語の helios(太陽)と
trope(向く)で「ヘリオトロープ」と呼ばれ
カレンデュラのほかにはヒマワリと
キダチルリソウ属、その名もヘリオトロープの3つが有名です。


ヒマワリはアメリカ原産、キダチルリソウはペルー原産なので
ギリシャ神話でいうところのヘリオトロープならば
地中海原産のカレンデュラではないのかな、と思います。


クリュティエの変じた花は、ヒマワリやヘリオトロープ説もありますが
神話の成立時にヨーロッパで知られていなかったんじゃなかろうか、と。



神話の詳細はあいも変わらず
嫉妬と復讐がモチベーションとなっている
ソープオペラ仕立てなので割愛します。
それよりも太陽神から水の精霊、ペルシャの王族へと
植物を媒介にして梯子がかけられた、という情報の方に刮目しています。


この神話では太陽とヒトが直結するのはむずかしいので
空と大地を自在に往来できる水の精霊が媒介者となって
地上生活者でもあるペルシャ王の系譜(血)に梯子をかけた
というのがお話のキモなんじゃないのかな、と。



虹のたもと


別名ポットマリーゴールドはマリア様の黄金の壺。
金盞花は金の杯。
水の精霊は太陽光にあたると虹色に輝き
そのたもとにはカレンデュラが咲いているよ
というのが名前の由来に隠されているのかな、と。


「虹のたもとの金の壺」は、占星学のサビアンシンボル
牡牛座4度の象徴です。
金の杯、金の壺のことは
現代思想では「財宝」「お宝」と表現するほうが
わかりやすいのかもしれませんが
牡牛座が象徴する内容を盛り込んで考えてみると
金の壺がもたらす豊かさに、もう少しバリエーションが出てきます。


たとえば地上生活するうえでは、からだが資本です。
そのからだを形成するのに意志力はとても重要で
すこやかなからだを成育させることは
生まれもった資質(遺伝的素質)を開花させることにもつながります。


地上生活をまるごと楽しむための道具として
からだの使い勝手が安定した状態や
五感を最大限に駆使して世界を楽しむ幸福を表すのが
牡牛サインの特徴です。


そのうえで五味を味わい、美しい芸術や心おどる音楽を楽しむ。
感覚器としてのからだをつかって
地上生活を存分に楽しむことをあらわすシンボルが、牡牛座4度です。


ヒトのからだの境界線である皮膚をまもり
皮膚のガーディアンと呼ばれるカレンデュラは
杯のかたちで花ひらき、器としてのからだの大切さを
思い出させてくれるハーブなのかもしれません。



虹のたもとの金の壺は、世界じゅうで神話、民話となり
現代に伝えられています。


ドイツの伝承では
虹は水を飲むために天から現れる。
虹が水を飲んでいる間に虹のたもとに辿りつくと
杯を手に入れ、幸福が約束される。


フランスの伝承では
虹のたもとで、虹は水を飲む。
柄杓か杯を見つけられると幸福になる。


中国の伝承では
晋の時代、家に虹がやってきて、釜の水を飲みはじめた。
家人は「虹がやってくるのは目出度いこと」と喜び
釜に酒をふるまい、虹は酒も飲み干して
釜の中に沢山の黄金を吐き出して去っていった。


日本の伝承は
虹のたもとを掘ると宝や金塊が出る、というのがあります。



水神様と悪戯妖精


古い伝承には、虹を竜(蛇)として見ているものも多いです。
ヨーロッパ、インドでは、竜、ドラゴン、蛇は土中の黄金を守ると言い伝えられ、この場合の黄金を、物質的な財宝ではなく、智慧やアカシックレコードとするなら、「りゅう座トゥバンは宇宙図書館」という伝承が、世界じゅうにちらばり、物語となって継承されているのかもしれないな、と思います。


守る竜、トゥバンのお話はこちらの記事にも☆



アイルランドの詩人、ウィリアム・バトラー・イェイツ(1865 - 1939年)がのこしたケルト妖精譚には、レプラコーンという妖精がでてきます。
レプラコーンは金の壺をもっており
うまく捕まえることができると黄金のありかを教えてくれますが
たいていはうまくいかず、それどころか悪戯を仕掛けられて
トラブっている人をみて、笑いながら去っていくそうです。
アイルランドには「レプラコーンに注意」という交通標識もあるそうです。



恐いものをとことん怖がると
やがてウィットに富んだユーモラスな物語になるように
悲しいことをとことん悲しんだ水の精霊クリュティエは
9日間太陽をみつめるあいだに
太陽神への思慕が美しい思い出に変わり
可憐な花に変化したのかもしれません。



☆☆☆



お読みくださりありがとうございました。
こちらにもぜひ遊びにきてください。
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