aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

藪蘭/ヤブラン 肝っ玉かあちゃん

ナルキッソスのお母さん


藪蘭/ヤブランは日本全土に自生する、日陰映えする植物です。
一年中おなじ葉姿でたたずみ、土質を選ばす、寒さ暑さに強く
日なたでも日陰でもよく育って、病害虫の心配もほとんどないので
街路樹のおひざもとやグランドカバー植物として、あちこちでよく見かけます。
藪に生える蘭のような葉をもつ植物ということで
ヤブランと呼ばれるようになりました。


↓ 写真は昨日、わが家のマンション前でパチリ。

藪蘭 リリオペ



学名 Liriope muscari (リリオペ ムスカリ)から
リリオペ、サマームスカリとも呼ばれます。


ヤブランの原産は東アジアですが
リリオペはギリシャ神話の、水の妖精の名前がもとになっており
ナルシストという概念・言葉を生んだ神話
「ナルキッソス」の母親という説もあります。


水に映る自分と恋におちた青年が
やがてやせ細って死にました、あるいは
水に落ちて死にました、という設定は
心理学者フロイト(1856年–1939年)が提唱したナルシシズムをはじまりとして、病的なものという枠内に収納されてしまい、ナルシストと形容されるのは不名誉なこと、というのが合意的現実です。


死後、水仙に変身したというナルキッソスは
水の仙人になったのでは?というのが個人的な見解ですが
それについては後日また、水仙のものがたりを綴ってみたいと思います。



藪・日陰、ゆえの真骨頂


藪蘭のおもむきは、日向より日陰の方が圧倒的に映えるものがあります。
和風の坪庭、お庭の日陰を縁どるように植えられている藪蘭は
細長い緑の葉に色つやがあり、楚々とした印象で
できるだけ人目につかず、存在感を消しているようにさえ思えます。



諸説ありますが平安時代の草本書「本草和名」に
和名、山菅(也末須介)という記載があり
藪蘭の古名は「やますげ」だったといわれています。


也 ヤーと呼びかける
末 草の茎や葉の先
須 すべからく、もちいる、待ちうける
介 とりもつ、たすける


陽当たりのよくない湿った土地で繫栄するのは
土の器にとりこまれた水の精霊たちを吸い上げ
めぐりを生み出す植物たち。
山菅という漢字にも、お山に管(筒状のパイプ)を通すお役目をもっている、と読むことができます。


人の目には楚々とした、奥ゆかしい印象に映っても
実のところ、どんな環境にも順応して繁殖でき
地植えされたらあとは雨水だけでやっていけます、という
柔軟でいて底力のある、まさに肝っ玉かあちゃん。


日陰上等、水渡しいたします。
「ヤァヤァ、迷子の水精霊はおらんかねー」と
日陰ならではのお役目に大忙しの植物なのかな、と。



水の精霊が露わになる候


寒露の候(今年は10月8日)から、初霜が降りる初冬にはいります。
四大精霊、エーテル成分をまる無視して、露・霜を説明してみますと…


1.地表が冷える


2.地表に接している空気の温度が露点以下に下がる


3.空気中の水蒸気が水滴になり、物体の表面につく


4.ゆえに寒くなる秋-冬の早朝に露が降りやすい


5.さらに冬は凝結して氷になり霜となる


という感じで、以下もなく、それ以上もない。
化学的エビデンスありきの世界線には、感性の入りこむ隙は微塵もありません。


白露から秋分、寒露、そして霜降の候に移りゆくころ
白く輝いていた水の精霊たちは、寒さで固形化し
ますますその姿を物質的なものへと変容させます。


露(つゆ)は水の精霊たちの姿が、現世で露わになった状態。
霜(しも)は水の精霊たちの姿が、さらに物質化して固まる状態、と感じています。



太陽の高度が低くなって日が短くなると
火元素の力が弱まり、水元素も気化する力が弱まります。
さらに風の吹かない日は、風元素の介入もなくなるので
ますます土元素界の物質化方向へ
形あるもの、動きのない固形物へと変容してゆきます。


霜凪と呼ばれる快晴無風の夜には
たくさんの水精霊たちが露となり、霜に変容し
地表に静かに降りてきます。



陽のあたらない湿った土壌でも元気に育つ草花たち。
藪蘭、どくだみはもちろん、ハナニラ、ヘビイチゴ、オダマキ、スミレ、ユキノシタ etc.etc…


植物たちは根を張り茎をのばし
土元素界に深く介入しながら、バイオームを形成し
大地を覆うように四大精霊のきざはしとなり
めぐり・循環を生み出していきます。


都会や都市という、特殊なバイオームをつくりあげたわたしたち人間も、化学的エビデンスありきの世界線に閉じこもってしまうと、土のスピリットが旺盛になりすぎて、囚われ感や閉塞感で、息が詰まってしまうことがあります。


植物たちの存在感や芳香成分は気分を刷新して
からだのなかの水精霊をうごかし
ミチミチに隙間を埋めたがる土精霊たちの鎖を
スパッとほどいてくれるのではないかな、と感じています。



☆☆☆


お読みくださりありがとうございました。
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