aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

パチュリ サッと切りかえサットン隊長

エキゾチックな大地の香り


インド原産のシソ科ハーブで、土を思わせる温かみのある香り成分をもっています。
スマトラ、ジャワの標高900~1800メートルの地域に自生し
商業用作物として年2、3回刈り入れが行われます。


パチュリ


主にインドネシアが供給国で、中国、マレーシア、インドでも生産されています。
手摘みで収穫し、雨季に刈り入れたものが最高品質とされており
精油になるものは3日間ほど乾燥させてから蒸留過程にはいります。


パチュリ精油はベースノートで、香りが長く持続するので
天然の保留剤として香水には重要なハーブと位置づけられてきました。
精油は生ものなので、時間の経過とともに香りがうすまったり変調したりしますが、パチュリは年月とともに香りが芳しくなる数少ない精油のひとつです。


伝統医療ではアジア中心に、殺菌、消炎、収れん作用があるとされ
皮膚炎、腸炎、下痢、熱病予防などに処方されてきました。


心理面に及ぼす作用では、穏やかに強壮しながら鎮静させる精緻なエネルギー調整力があり、土を連想させる、温かくすこしスパイシーなムスク様の香りは、ハラに力が入らないとき、倦怠感、軽いうつ状態のときに効果的といわれます。


個人的な使用感としては、シータ波をつかった瞑想に深く入り込みすぎて、からだをうまく動かせないとき(特殊すぎるケースであまり参考にならないと思いますが;)や、頭がぼぉっとしたままの時に、日常動作に戻るのに役立つなぁと思っています。
地に足をつけるというか、からだにグラウンディングするというか、合意的現実感覚にチューニングするというか。。



東のサットン、西のゴットン


若いころはさまざまなエネルギーワークにチャレンジしてましたので
からだにすっと戻れないと感じるケースはわりと慣れっこになっていますが
それでも急な仕事が入ったりで、さっと切り替えが必要な時
パチュリにはずいぶん助けられてきました。


わが家ではパチュリ精油を、サッと切り換え「サットン隊長」と呼んでおり
サットン隊長の歌まで作ってしまいました。
パチュリの芳香を聞きながら、サットンタイチョーサットンタイチョォー♪と歌いつつ、リビングをうろうろ行進するという奇行が、数日おきにくり広げられていますw


一時期わが家でのマイブーム・ブレンドが
パチュリ・オレンジ VS ベンゾイン・ネロリだったことがあり
それぞれに東のサットン、西のゴットンと命名
パチュリはいつしかサットン隊長に昇格しました。


ちなみにベンゾインはゴットン隊長に昇格していますが
もとは事師のゴットンからきており
 実事を成すときに役立つ香り作用をリスペクトした命名です。



パチュリの強壮しながら鎮静化するという
いっけん矛盾をはらんだ心理作用については
心とからだと頭の連携がとれる
三つ組みマジックの発動、という感じがします。


書道家が心身を研ぎ澄まし、しずかに、そして力強く墨を磨(す)る、みたいな…
茶道家が茶室で客人を迎える一挙手一投足、みたいな…


なんというか、かすかな、わずかな所作のなかにも
心、からだ、頭の三つ組みが自然と連携して
プレゼンスを一分たりとも漏らしていない感覚です。



パチュリの得意技


土のスピリットがほころびをつくりはじめるのは
現世にしっかりコミットしていないときだと思うのですが
たいていの場合ご飯を食べると、あっというまに土元素界優位の地球コミュニティへ舞い戻ることができると感じています。


精油をつかう習慣がなくとも
からだにしっかりとグラウンディングしたいときは
ご飯を味わって食べることで、主軸をこちら側にうつせるのではないかな、と。


ただ、ご飯の種類や質によって
たとえば添加物多めのメニューだったりすると
肝臓が毒素排泄するのに大忙しになって
イライラしたり不安定になったり、怒りっぽくなったりすることもあると思います。


逆に土のスピリットが旺盛になりすぎて、閉塞感や息苦しさを感じたら
原生林散策や、パワースポットで名高い聖地の神木にふれたり
あるいは人気のない海岸で焚火などして(本州ではNGの海岸も多いですが)
植物が燃える炎の香りを吸い込むと、たちまち呼吸が鎮まり思考が落ちつき
からだといういれものから解放されて、のびのびできることもあります。


土元素をコントロールできるほどの植物となると
大御所だったり、神懸っていたり、火元素や風元素の協力がなければ
ちょっとむずかしいのかな、と思っていましたが
パチュリは土元素を精緻に微調整する、数少ないハーブのひとつだと感じています。


その御業はハーブの小さなひと房にも宿っており
見て、触れて、香りを聞いて、こころのなかに招待する気分で
ハーブを身近において時間を過ごすことで
拡大したこころのなかに根をおろし、人とハーブの共有体験がはじまる
そんな気がしています。



ただただ、唯我独尊です


ハーブにはそれぞれに、あたたかさや湿っぽさ、密度や重さなどのちがいがあり
土と水、風と炎の元素配分も、それぞれに多様化し
いろんな役割を分担しているんだなぁと感じられます。


ジャワ島を旅した時に出会った、ひと房のパチュリからは
水分やミネラルを探し求める毛根は、ゆったりとして余裕があり
上に伸びてゆく茎の強さ、空気に含まれる二酸化炭素や太陽光
雨水の恵みを受けとるレセプターも、鷹揚でおっとりしているんだなぁ、と感じました。


グレートマザー・太母の深い愛情につつまれても
決してスポイルされることなく
ただただ唯我独尊です、みたいな。



ジャワ島のバティック(更紗)を見た瞬間
土地柄や文化の色彩が色濃く反映された独特の風合いに魅了され
予定外に何枚か購入してしまいました。
生地には虫よけのためと、ジャワ島のバティックであることを明示するように
パチュリ(その他サンダルウッドや樟脳の香りも混ざっていたと思います)の香りづけがされていました。


ボロブドゥール寺院の遺跡群を散策しているあいだも
リュックに詰めたバティックは濃厚なパチュリの香りを放ち
寺院のあちこちで焚かれている香を凌ぐほど、わたしの嗅覚を占領していました。


押しが強いんだか弱いんだかわからない。
けれど出会った瞬間、2度と忘れることのできない芳香で
サッとパチュリ・ワールドに誘ってくれる。


そしてサッと活力を補給してくれる。
生命力の源、へその下、丹田あたりがぽぅっと温かくなる。


ジャワ島の旅はパチュリとの絆を深めるきっかけになり
さらにパチュリ・ホスピタリティなのかどうかはわかりませんが
ふしぎスピリチュアル体験目白押しの珍道中となりました。
その時の体験をもとに、サットン隊長の珍歌ができましたw

パチュリ



パチュリは19世紀ころから、虫よけのためにインド産織物の香りづけに使用されてきました。
いまでもインド風雑貨屋さん、洋服屋さんにいくと、いろんな香りに混じってパチュリの香りが聞こえます。



☆☆☆



お読みくださりありがとうございました。
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