aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

ユーカリ 風のファミリア

地球上で最も高い樹々たち


フトモモ科のユーカリはオーストラリア原産の大木。
自生地では100メートル近くまで育つものもあり、100メートル越えをする木としてはアメリカのセコイア、ベイマツと順位を競い合っています。
(今現在ではセコイアが一番の高さだそうです)


ユーカリは世界各地に移植され、
・パルプ、材木の原料として
・景観、空間を清浄にする目的で
・アロマテラピーや民間療法の使用に
はばひろく分布し、すでに500種以上、変種も含めると1000種類ほどが確認されています。

コアラとユーカリ


コアラはユーカリの葉を主食として、地球上の生存場所を確保しました。
ユーカリの葉には青酸化合物などの毒性があるので、ほかの動物とは競合せずに、食べられるものを選んで種を存続してきました。
毒素を分解・解毒するために、体内エネルギーをたくさん使って消化活動をしているので、その分動作がゆっくりで、食事以外ほとんど寝ています。


ユーカリの木は乾燥地帯に自生する植物らしく根がとても発達し、地下深くから水をたっぷり吸い上げることができます。
ユーカリをつかった砂漠化緑地プロジェクトも成功した事例がいくつかあり、成長速度が速いことや、産業用の植物として有用であることを含め、今後ますます注目されてゆくのだろうと思います。
過去にはマラリアの発生を防ぐため、逆に土壌の水はけをよくする目的で植樹されることもありました。


ユーカリの香り成分・精油は葉から採油されます。
1,8シネオールを多く含み、殺菌作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用などが有名です。
すっきり爽やかな芳香が花粉症や風邪の予防にと重宝されています。


精油として主に出まわっているのは
ユーカリプタス・グロブルス(ごく一般的)
ユーカリプタス・ラジアータ(香りも刺激もやや強い)
ユーカリプタス・シトリオドラ(レモン様の香りがする、レモンユーカリ)
の3種で、レモンユーカリは園芸種としても人気が高いです。
ユーカリ属は根が強く、水を上昇させる植物なので、風水にもよさそうだなぁと思います。



深呼吸を呼び覚ます


オーストラリアで散策したユーカリの森は、日本の森林とはまたちがった原風景を想起させてくれます。
日本で見る樹々よりはるかに大きい、というのもあったと思いますが、地下深くから水を汲み上げ、天にむかって上昇させる植物の力に、シンプルに圧倒された気がします。


それまで森の気配というと、大きな繭のなかに包み込まれるような、森に抱かれる感覚が強かったのですが、ユーカリの森は地球にも、天空にも筒抜けで、スコーンと広がった空間にほうり出されるような、うっかりすると自分のカタチを忘れてしまいそうな、心もとなさも感じました。


なじんでくるとその解放感にすっかり夢中になりましたが、それまでは1歩1歩を踏みしめるように、大地と接触していることを確認するように、へっぴり腰で歩くしかありませんでした。


空間認識には個人差があって、自分のオーラが満ちていないと感じる場所があると、そこに引き寄せられるように感じて、恐怖心がわき起こるそうですが(俗にいう高所恐怖症とか)、ユーカリの森で体験した空間認識の妙は、地球の大地にいることを忘れてしまうほどの広がり感で、動植物の生態系が特殊なことも含めて、オーストラリアは地球上の特異点なのかもしれないなぁ、などとひとりごちておりました。


葉をゆらす風の音が、はるか上空でカラコロと乾いて響くたび、おもわず上空を見上げるのですが、そのたびに異質な次元に迷い込みそうになって、深い深い吐息で気を鎮めていました。
呼吸はいつの間にか深く、長く、それでいてとても静かで、息をしているのかしていないのか、わからなくなるような…。



深い呼吸がそうさせたのか、ユーカリの森がそうさせたのかはわかりませんが、この場所は、ここではないどこかに、つながっているのかもしれないと、未知への怖さのドキドキと、好奇心発動のドキドキがオーバーラップして、自分の心臓音がとても大きく聴こえていたことを思い出しました。



虹の森


レインボーユーカリ、学名  Eucalyptus degluptaは、ニューブリテン島、ニューギニア島、セラム島、スラウェシ島、ミンダナオ島を自生地とするユーカリ属で、樹皮が虹色に輝くのが特徴です。


レインボーユーカリは外側の樹皮を落脱させては再生してゆきます。
そのとき内側の明るい色合いの樹皮が現れて、樹皮は時間が経つにつれて、青、紫、橙、赤茶色に変化し、虹のように輝きます。


レインボーユーカリ



風も呼吸も


美しいユーカリ、ともかく大きなユーカリ、コアラ種族と共生するユーカリ、北半球でも育つユーカリ、ヒトの暮らしに有用な成分や木材を提供してくれるユーカリ。
いろんなユーカリがいますが、どの木も水の吸い上げ力が強く、大気を清浄にして、景観をよくしてくれる。


地球をぐるりとりまく大気は、気流となり風圧となり、さまざまな風となって地表を駆けめぐります。
地球上で最も高くなる樹々たちは、風の精霊とは竹馬の友で、そうとうの仲良しなんだろうなぁ、でないと、あんなに大きくなれないんじゃなかろうか。


わたしたち人間も風の精霊・大気を吸って、吐いて、呼吸することでいのちを紡いでいます。
ユーカリがそばにいるだけで、自然と呼吸が深くなるのは、広大な空間を自由に移動していたころの原風景・風とひとつだったころの記憶を、呼び覚ましてくれるからかもしれません。



☆☆☆




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