aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

ハイビスカス 色と光の表現者

南のハイビスカス、北のバラ


一般名称ハイビスカスと呼ばれる花は、出自・分類があいまいで、学術ラベリング枠におさまりきらないフシギ花のひとつです。


ハイビスカス


・アフリカ原産
・インド洋諸島原産
・フィジー原産
・ハワイ原産
・中南米原産


などがあり、植物学上でアオイ科フヨウ属、アオイ科ヒビスクス属に分類されるものの一部をハイビスカスと呼びます。


あいまいながらも一般的にハイビスカスというとき、和名ならブッソウゲ、ハワイ州の花アロアロなど、5枚の花びらをもつ鮮烈な赤い花をイメージすると思います。
ハイビスカスの品種はハワイを中心に掛け合わされ、いまでは数千種に広がっています。



ハイビスカスティーとして出回っているのは、ローゼル/Hibiscus sabdariffa で、 中心部が赤いクリーム色の花を咲かせます。
酸味(クエン酸)とビタミンCが豊富です。


花を咲かせたあとの赤い萼(がく、お花の土台)がふくらみ、その部分がハイビスカスティーになります。


ジンやウォッカ、焼酎に漬けておくと赤いお酒、ローゼル酒に
砂糖で煮ると酸味のあるジャムに
オリーブ油と塩、ニンニクを混ぜると色味のきれいなドレッシングに
使いかたいろいろです。


ローゼル/Roselleという名前は花の形がバラに似ていることからついた名前です。
バラもヨーロッパを中心に、改良によって数万という品種が生まれましたが、バラの原種は5枚の花弁をもつものが多く、ハイビスカスに似ています。
ハマナス/バラ科バラ属・ Rosa rugosa の花を想像すると分かりやすいでしょうか。



北半球のバラ、南半球のハイビスカス。
人の手によってたくさんの品種が生まれ、「花」というイデアを人類に刻印する大役を果たした、植物界の功労者たちといえます。



ポリネシア文化


太平洋に大きく広がるポリネシア文化。
小さな島々、海洋国家がたくさんあり、現在もフランス領、アメリカ領の島々は多いです。


オーストラリアとアジアのあいだに点在する島々は13,000以上、地図に載っていない島もたくさんあると昔聞いた記憶があるのですが、ネットでいくら調べても根拠になる情報はみつけられません。
便利な情報社会とか、ネットに精通できない人は情弱などといわれる時代になりましたが、ネット情報がすべてではないんですね。
テレビが主流メディアだった時代もそうですが、プロパガンダはいつの時代にも強烈に押しつけてくる、逆にオーパーツやUMA、宇宙人など、エビデンスありきで語ることを求められる事象は逃げ続けます。



ポリネシア神話は自然崇拝・多神教で、海の神様を中心に、母なる神、火の女神、水の女神、いたずら好きの半神などが登場し、マオリ神話、ハワイ神話、タヒチやイースター島など、国によって多少のちがいはあれど、火山の女神ペレなどに代表される有名な神様は、現代人の心にしっかりと根をおろしています。


ポリネシアンといえばタロイモ、ヤマイモ、バナナにパンノキ、ココヤシなどを中心とした農耕民族を想像しますが、同時にマオリ族に代表される狩猟採集民族のイメージも彷彿とさせます。


ポリネシア人は体重に対する筋肉量と骨量の比率が大きく、ほかの人種の比ではないとのこと。
「地球最強民族」と称されることもあり、お相撲さんでは曙、武蔵丸などが活躍しました。
スポーツはあまり詳しくないのですがラグビー、アメフト、プロレス界にもポリネシアンの選手はたくさん活躍されています。



ポリネシアの守護精霊


ミクロネシアやポリネシアなど南国を旅したときに感じたのは、ポリネシア文化を守護する精霊たちは、ポリネシアンに屈強な強さを与えたと同時に、心安らぐ静かなオーラも付与したのではないかしらん、ということです。


伝統儀式やスポーツするときは別として、日常生活ではめったに大声をあげず、強壮の権化みたいなガタイのいい男性も、低い声で囁くようにおしゃべりして、いつもほんのり笑っているような表情筋が、天然装備されている印象がありました。
そういう気配の人と目が合うと、自然と笑顔がこぼれます。


ゆっくりと流れるように動く所作は、南国の陽射しで育まれたのか、屈強さゆえに自然と身についたものなのか…。
男性は女性的要素を、女性は男性的な要素を、自分のなかに認めて吸収することで、ようやく全的ヒトとなって地上の役割を果たせるんだと、旅先のポリネシアンから聞いたお話が心にのこっています。


彼はポリネシアンの肥満人口が増えていることも同時に嘆いていました。
情報戦に敗れた国がどこもそうであるように、甘味飲料や粗末な小麦粉でつくられたインスタント食品、お菓子などがどっさり並ぶ小さな雑貨店で、悲しそうに商品を選ぶ背中も、強く印象に残りました。



音の色


ヒトや哺乳動物は実を食べるので、赤い色の「実」は多いですが、自然のままの赤い「花」はそう多くありません。
紫外線を認識できるという虫たちに、赤い色はさほど効果的ではないようです。



ハイビスカスもバラも、人の手によって品種改良され、たくさんの色がつくられました。
なかでも赤いバラ、赤いハイビスカスはいわずもがなです。


出自が謎めいているのではっきりとはいえませんが、原種のハイビスカスといわれている花は白やコーラル色。
バラの原種も白が多く、あとは黄色やピンクなどです。
自然界では白い花が一番多い(だろう)といわれています。



光・色には波長がありますが、音にも色がついていて、生物の鳴き声や羽音、ヒトの声にもさまざまな音色があると感じています。


南の小さな島々には、幾層もの波の音が漂って、空間を白い輝きで満たしているんだなぁ、
砂浜にふれるあたりの波音はとくに、まぶしいほどの白さだなぁ、と。
海辺をさんぽしているときによく出会った野生のペリカンは、甘えたようなピンクの声で鳴き、
名前のわからないサギみたいな白い鳥は深緑の声を発しながらキョロキョロ。


都会のマンションでも、夜に窓をあけるといろんな音色が届きます。
秋虫の声は銀色。
車の走る音は乾いた黒。
救急車のサイレンは細くてとがった赤。
酔っぱらった人々の笑い声は黄色やオレンジ。


光の3原色におとしこむなら、
青く鎮まる静かで落ちついた声色に、「短い波長は取りこぼしのないように耳を立てて聴いてしまうから、集中を持続させるなぁ」と感じます。


緑は淡々とした物語の口承や口伝えの声色。
「青と赤の中間で伝達につかわれるから、考えたり比較するきっかけをつくってくれるなぁ」と。


赤は情熱や強い思いが込められたインパクトのある声色。
「気分を高揚させ、情熱を呼び覚ましてくれる。
波長の長い色は興味を向けなくても押してくるから、びっくりしたり興奮したり、一瞬にしてなんらかの変化を起こしてくれるなぁ」と。


青は逃げるから追いかけ、赤は向かってくるから変容が素早く起こり、緑は伝言だから考える力になる。



ハイビスカスはさまざまな色の花が生み出され、1輪に2色が混じるハイブリッドもあるそうです。
あらゆる光・色を受けとる花は、女性的要素も男性的要素も吸収し、ポリネシアン文化を表現するお手伝いをしているのかもしれません。




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*当ブログで紹介している植物の一般的な性質は化粧品の効能を示したものではありません。