aroma72 ハーブ天然ものがたり

魔術から化粧品、厨房から医薬まで。ハーブ今昔、天然もの、所感まじり。

セージ 妖精たちのお気に入り

「セージの刈り入れには、素足を清めて、白い上着を着用し、専用の銅か銀の道具を使うこと。収穫に先立って、神々に食事とワインをささげよう」


妖精たちのお気に入りハーブ、セージ


神聖なハーブ


古代ローマではセージの刈り入れを特別な儀式とともに行っていました。
神聖なハーブの刈り入れは、鉄製の道具を使わず、刈り取ったセージを鉄の道具といっしょにしてはいけないというしきたりがありました。


鉄は占星学において軍神マルス・火星と関連づけられます。
古くから武器の材料となり、強固なものを表現するときの代名詞にもなっています。
鉄の掟
鉄壁の防御
鉄人
鉄の女
鉄のカーテン
etc.etc..



妖精は冷たい鉄を嫌うと伝承され、現代小説やゲーム設定にも、鉄と魔法的なものとの相性の悪さは「鉄板ネタ」として使われます。
セージは有史以前から存在していたハーブのひとつといわれていますから、きっと人間が受肉する以前、天地明確に分かたれるまえより、妖精たちから祝福を受けていたハーブのひとつなのだろうと想像しています。



イギリスの古いバラッド、エルフィン・ナイト(妖精の騎士)と、若い少女との謎に満ちた掛け合い唄の中で、妖精の騎士が要求したのは、物質的な道具である針や糸を使わず、ハサミも使わず(裁断もせずに)シャツを作ること。
これに対して若い少女が要求したのは、物質的な道具や地上の動物たち(穀物、ツノ、石、手押し車、コマドリ、ネズミ、手のひら、靴の底、手袋)を駆使して、穀物を収穫すること。


地の理に生きる人間と、天の理に生きる妖精との、決して交わることのできない一線を、表現している伝承唄です。



存在の振動数


著述家・舞踏作家・作曲家であるグルジェフ(1866- 1949年)は、妖精と人間との違いを、存在の振動数によって分類、定義しました。
存在の振動数は3つの数字で表され、ザックリ解説になりますが、下の数字は肉体や物質の振動数、真ん中は中層重心、上は高自我の振動数です。
脊椎動物は12-48-192
妖精(小天使)3-12-48
と定義され、振動数が高くなる(数字が小さい)ほど、動くスピードも速くなります。


脊椎動物の中層重心である48は思考。
48思考は日常的な生活リズムを生み出す振動数で、献立を考えたり、1日のスケジュールを組み立てたり、家族行事の予約を取ったり、仕事で使う話術や交渉事、親戚ご近所付き合いなど、肉体を維持し、ケアするための思考力といえます。
妖精にとっては、光より速くうごく思考体がボディなのですから、物質を認識できない、触れないというのも頷けます。


ちなみに48思考の上にある振動数は24、12と続きます。
24はプロフェッショナルの思考スピード、その道数十年の熟練技術とか、学術論文速読能力とか、即興でセッションしちゃうミュージシャンとか、いわゆる「ゾーン」に入った境地をさします。
養老孟司さんのYouTubeで「車の運転がうまい人は目先のことだけに対処するのではなく、上から大きく全体像を俯瞰して見るゴッド・アイを無意識に発動している」可能性を示唆していらっしゃいました。(空間定位の領野)これも多分24の思考スピードなんだと思います。


そして妖精たちの中層重心12は、法悦的なヨロコビ・エクスタシーと定義されています。
これは全くのうけうりですが、日本の哲学者であり、占星学第1人者の松村先生曰く「12成分はクラシック音楽にたっぷり入っとる」説に感化され、いつも仕事しながらバッハやヴィヴァルディなど聴いています。



存在の振動数を現代人よりはるかに理解していたと思われる古代の人々は、セージの刈り入れに際して、天の理に生きる生命体への、精いっぱいのエクスキューズと感謝の意をこめて、さまざまな儀礼を尽くしていたんだろうと思います。



健康、治癒、救いのサルバーレ


中世でつくられた強壮剤には必ずセージが加えられ、中世後期の書物に「セージは人間を長生きさせることができる」と記されています。
セージの薬理作用によって、という意味合い以上に、セージのもつ強力な魔力に、一目おいてきた風習によるところも大きいのでしょう。
ヨーロッパでは庭に植えられたセージが良く育てば人生は好転し、枯れてしまうとうまくいかないジンクスもあるとか。


古くは聖母マリアの祝福を受けたハーブ、新しきは強い抗酸化力を持つハーブとして、同じ背景を持つローズマリーとともに愛されてきたハーブです。
セージはキリストの薬草という別名ももっています。
「長生きしたければ庭にセージを植えなさい」
「長生きしたければ5月にセージを食べなさい」という諺もあるほどです。


学名はSalvia officinalis(サルビア オフィキナリス)、ラテン語の salvare、健康、治癒、救いという意味にちなんでいます。



スマッジスティック


乾燥させたセージ(主にホワイトセージという種)、シダーウッドやジュニパー、パイン(松)などの小枝をまとめて、燻しながら香焚きすることで、邪を払い、病気を治癒して、神聖な空間を保持する。
ネイティブ・アメリカンの人々の伝統的な儀式です。


スマッジスティックは現代にもかなり浸透しているようで、検索するといろいろなハーブの組み合わせで販売されています。


もうひとつ伝統儀式として有名なスウェットロッジ(テント式簡易サウナのようなもの)は、小屋の床にセージを敷きつめ、ハーブで作った聖なるパイプが用意され、熱した石の上にはセージと聖なる木の葉がおかれ、水をかけるたびに香り豊かな蒸気を堪能できます。


丸く造られたロッジは子宮を表していて、香気と蒸気の中で行われる儀式は、子宮から新たに生まれ出ることを象徴しています。


アメリカ西海岸にある、ワークショップとスパを併設する行動心理学研究所で、ネイティブ・アメリカンの人が再現したスウェットロッジを見学したことがあるのですが、数十メートル離れたところにも、セージの香気が一面漂い、周囲一帯のセコイアの森を、さらに荘厳な雰囲気で包みこんでいました。


ネイティブ・アメリカンの人々によるスウェットロッジの儀式は、一人前の男になると参加が許されたといいます。
12歳になった男の子は、東西南北の精霊に出会う旅に一人で出かけ、自分の精霊を見つけると村に帰ることができ、ようやく一人前の男として認められたそうです。


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*当ブログで紹介している植物の一般的な性質は化粧品の効能を示したものではありません。